今回紹介するのは日産フィガロに乗る20代の女性。彼女が何故、自分が生まれる前に誕生した旧車、フィガロをマイカーにしたのか、その理由に迫ります。
もともと車に全く興味がなかったという彼女。車が必要な地域に住んでいたこともあり、移動手段としてお父さんのおさがりの軽自動車に乗っていた。でもあるとき、丸目の可愛い普通車が欲しくなりお父さんに相談したときに薦められたのが日産フィガロ。
「それまで見たことも聞いたこともないフィガロでしたが、初めて写真でフィガロを見たときに一目でその可愛いさに気に入ってしまいました」
当初は遠出もしやすい車を考えていたので旧車という選択肢も考えてなかった。でもフィガロという存在を知り、調べていくうちにどんどんフィガロの魅力に取り込まれていく。
「長野県にあるお店にラピスグレーのフィガロを見つけました。その子が可愛くて可愛くて。どうしようもなく惹かれてしまいました」
お父さんと一緒に長野まで行き、さっそく車を確認すると状態は良好とのこと。ただトランクはサビで穴が開いていたり、エンジンは少しオイル漏れをしているところもあり、修理は必要だった。
「実は父は、整備士なんです。父からは、修理すれば十分に乗れるよと言ってくれたことも購入の決め手になりました。そんなにお金に余裕があるわけではなかったのですが、ここで買わなかったらこの子とはもう会えなくなる・・・ということも決め手だったと思います」
フィガロが納車されてからは1カ月ほど乗るのはお預け状態。整備士のお父さんが自ら整備をすることになる。すぐに乗れないのは寂しいけれど、毎日、整備する様子は見ることができた。そして無事に修理が終わり、彼女のマイカー生活がスタートした。
「整備中は乗れませんでしたが、側にフィガロがいることが嬉しくて仕方がありませんでした。初めて車を走らせる前は、約30年前の車だし壊れないだろうかと不安でしたし、普通車に乗るのは教習所以来だったのでかなり緊張しましたが、車幅感覚も掴みやすく、走りやすかったです。何より、内装がすごく可愛いのでテンションが自然にあがってしまいます(笑)」
フィガロに乗っているとゆっくりとドライブを楽しみたくなるそう。普通の道、いつもの街の風景もフィガロから見ると素敵な風景に変わり、移動するひとときも、特別な時間になるのだとか。
「フィガロに乗っている時間が好きなんです。運転席がすごく落ち着きます。乗るだけでリラックスした気分になります」
幌を開けるのは手動。でもこのアナログなところも気に入っている。「ちょっと手間がかかるところまでいとおしい。フィガロは、通勤にはなるべく使わないようにしています。共通の趣味の友人たちと会うときに乗ったり、少し気分転換したいときに大切に乗っています」
フィガロに出会う前。車は移動手段の1で、移動ができれば良いと思っていた彼女。ところがフィガロと出会ってからは、その考えが変わった。
「1台の車の存在が、こんなにも自分の人生を変えてしまうことがあるんですね。自分でも驚いています。以前はオイル交換の知識もなかったけれど、フィガロに乗ってからはできるだけ覚えていきたいと思うようになりました」
フィガロを愛してやまない彼女に改めて車とはどんな存在なのかを伺った。
「相棒です。この子がいなくては今の私はいません。もともと友達が多い方ではなかったんですが、フィガロに出会ったおかげで共通の仲間ができました。遠出もできなかったのに遠くまで行けるようになり、この子は、私にいろいろな景色を見せてくれます」
車は移動手段の1つであり、生活の道具です。でも、自分にとって相性の良い車と出会った瞬間から車は相棒に変わります。相棒になると、日々の暮らしにも彩りが増え、自由が訪れ、自分自身にも変化が訪れます。車は道具です。されど、相棒と気が付いたとき。人生が変わります。