今回紹介する女性は、1991年式のローバーミニに乗る女性オーナーを紹介します。
「今の車の前に軽自動車のバンに乗っていました。バンを購入した理由は18歳になるシニア犬と一緒にキャンプに行きたいと思ったことがきっかけです」。
愛犬とキャンプや車中泊を楽しむ目的を果たした後、愛犬は虹の橋を渡った。「犬がいなくなってしまったこともあり、今度は自分がもう少し運転を楽しめる車に乗り換えたら?と夫に言われたこともあって、あれこれ探した中で見つけたのが今の愛車でした」。すでに1972年式のフォルクスワーゲンタイプ1が家にあるため、ワーゲンも好きだったが、彼女が自分用に選んだのはローバーミニだった。
もともと乗り物の運転が大好きで、車もバイクにも乗る。育った環境はマニュアル車しかない家だったこともあり、免許取得後は、自然にマニュアル車の運転を楽しむ生活が始まった。初めてのマイカーは二代目ジムニー(JA22)。彼女が10代の頃、ご両親が幌付きのジムニーに乗っていた。「当時、その車が本当に楽しくて、ジェットコースターみたいな乗り味だったんです(笑)」。そのときに乗ったジムニーが忘れられなくてマイカーにしたという。2代目ジムニーは幌付のジムニーと違い、かなり滑らかな走り心地だったが、それでもジムニーのやんちゃな面影はあった。1度はジムニーを手放したものの、結婚後、再びジムニーに乗りたくなり、黄色のジムニーを手に入れる。そして犬とのキャンプを楽しむために日産クリッパー(NV100)へ乗り継ぎ、今の愛車に辿りつく。
「まだ乗って1年と少し。バイクではツーリングの経験があったけど、この車に乗って初めて、車でのツーリングも楽しむようになりました。年代も職業も異なる幅広い仲間が増えて、ミニのお仲間とお会いするのも楽しい。ミニの乗ったら違う楽しみ方が増えました。ただ、不具合がちょくちょく出ます。でも少しずつ整備していく過程も、愛着が増えていくから不思議です」
フロントガラスの劣化したゴムパッキングから雨漏りしたり、室内のウッドパネルが振動でがたがたし出したり、手動で回す窓のハンドルがとれかかったり。あれこれ不具合が出るたびに修復を重ねてきた。「先日は初めてレッカーも経験しました。電装系の接触不良でエンジンがかからなくて」
何かトラブルが起こるたびに車のことを知っていく。エンジンオイルや冷却水の確認など、自然とメンテナンスの知識も増えていった。
「苦労だらけだけど、もうちょっと乗っていたい。それに車の悩みはお知り合いになった方々に相談することもできますし、先にあれこれ起こりうるトラブルを教えていただくことも。そういう会話も含めて楽しんでいます」
愛車のトラブルを通して、車を知り、仲間とのコミュニケーションも深まっていく。最後に改めて、車とはどんな存在なのかを彼女に伺った。
「バディという言葉が一番合うかな。手間はかかるけれど、手をかければかけるほど、快適になっていくことに、楽しさと喜びを感じています。ミニとの暮らしは楽しいです」
水温上がらないかな? エンジンオイルは減ってはいないかな? そんな心配は現代車ではほぼしなくていい。車が優秀になればなるほど、愛車のメンテナンスからは遠ざかり、「車検時に車を見てもらえばOKだから、ノーメンテです」なんていう人も多い。けれど、エンジンオイルやバッテリー、タイヤといった消耗品は現代車であっても、出かけた先で悲しいトラブルを回避するために、マイカーの日常点検は大切。そういったことをローバーミニなら自然に教えてくれる。車を知るうえでは良い勉強相手。そして手間がかかるが、調子がよくなると小粋な走りを披露してくれるからたまらない・・・という、所有しているかただけがわかるミニの沼にはまっていくのです。