けん引されているシーンを見かけたことはありますか? 経験がないと、スルーしがちなこのシーンですが、当事者であれば、忘れられない経験になるはずです。以前は私もけん引している車を見かけてもそれほど気にしませんでした。ですが、実際初めてけん引してもらう側、けん引する側となったときに「どうすればいいんだっけ???」と、とても焦りました。
正直、けん引される側、けん引する側にならないと、けん引ロープも何に使うの? これ、必要ですか? という状態ですし、けん引する方法もしっかりと学ばないものです。
まず、どのけん引ロープを選んだらいい?
一番最初のけん引経験は、雪に埋まったスタックです。私のマイカーのタイヤがずっぼりと、新雪に埋まってしまいました。確か、確か、けん引ロープはラゲッジルームに入れてあったはず!!と、購入したことも忘れかけていた、私の車の中にあったけん引ロープを出したのですが、これが伸縮タイプ。
伸縮タイプは、伸びたり縮んだりするタイプで、けん引してもらう際は、衝撃を緩和できるというメリットがあるのですが、雪や砂浜にスタックしたときに引っ張り上げてもらう場合は、ちょっと適さないタイプのけん引ロープです。
伸縮タイプは、故障車をけん引するときに本来の効果を発揮するタイプ。
(Meltec)大自工業 けん引ロープRP-50 牽引ロープ 車両総重量3t まさかの時の車の牽引に! meltec
結局、私の伸縮タイプのけん引ロープは使わず、救援車の方が持っていた、ワイヤータイプのけん引ロープで引っ張り上げてもらいました。そのとき、初めて、けん引ロープって、種類があるの? 何でもいいわけじゃないの?と知ったという(笑) 何事も経験ですね~。
伸縮タイプ+ワイヤータイプの両方を用意しておくと、幅広く、対応できると思います。
もうひとつ、ベルトタイプというけん引ロープもあります。強度、耐久性がよく、夜間で目立つ蛍光色のベルトタイプがおすすめです。ベルトタイプの種類にもよると思いますが、車両の引き上げと故障車のけん引ができるタイプを選べば、幅広く対応できると思います。
※アマゾンで見つけた、最大耐荷重8トン、5m、夜間反射つきのベルトタイプのロープを貼り付けておきますね。
車両の総重量の目安は、軽自動車の場合は2t、普通自動車は2~3t、大型車は3~5tくらい。
私は普通自動車に乗っていて、3t対応のワイヤータイプ&伸縮タイプを緊急グッズとして用意していますが、8tまで対応可能なベルトタイプに買い替えようか検討中です。
けん引って誰でもしてもいいの?
車の総重量が750kgを超える場合は、けん引免許が必要です(車両総重量750kg以下は自動車免許のみでけん引可能)。長い距離をけん引する必要がある場合は、ロードサービスに依頼。
でも故障車を安全な場所まで移動させるためにやむを得ない場合は免許がなくてもけん引できる場合があります。
ただ、その場合もけん引するための条件があります。
①けん引する車と、けん引される車(故障車)の感覚は、5m以内を保つこと。
②けん引する車の先端と、故障車の後ろまでの長さは25m以内であること。
③けん引する場合は、けん引ロープで故障車とつなぎ、ロープ中央に0.3m平方以上の白い布をつけること。(※白い布はけん引ロープを購入の際に一緒にセットで入っているケースがあります。確認しましょう!)
④高速道路はけん引NG、制限速度はおよそ時速30キロ
けん引するときの法定速度は自動車の種類によって異なります。
●車の総重量が2,000kg以下の車を、その3倍以上の車の総重量がある車でけん引する場合は、時速40km
●総排気量125cc以下または、定格出力1.00kw以下の普通自動二輪車や原動機付自転車で、他の車をけん引する場合は時速25km
上記以外で故障車をけん引する車の場合は、時速30km
けん引する際の制限速度はこのように決められているので、標識で時速50kmと表示されていても、けん引しているときは、上記の時速を守る必要があります。
⑤けん引できる台数は、
●大型自動車、中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車の場合は、2台まで
●大型自動二輪車、普通自動二輪車、小型特殊自動車の場合は、1台まで
けん引される側の心得
私自身、けん引される側、けん引する側、どちらも経験があります。
まず、故障車に乗るのは自動車免許を持っている方です。故障車もエンジンをかけます。ギアはニュートラルに設定。エンジンはかけないと、パワーステアリングが機能しなくなり、ブレーキの効きも悪くなります。
また先導車を運転する方とタイミングなど事前に話し合ったほうが安心です。
例えば、小休止の場所を事前に決めておいたり、停まってほしいときはパッシング(ハイビームとロービームを数回切り替える)で知らせるなど。
けん引される側は、けん引する車の様子をしっかりと見ることが大切です。また車両をつなぐけん引ロープはゆるませ過ぎず、5m以内でかつ、一定の距離を保つことがポイントです。
エンジンがかからない場合は、ロードサービスを頼ったほうが良いですが、どうしても安全な場所まで移動しなければならないときは、パワーアシストが機能しないためステアリングが重くなり、ハンドル操作がしにくいこと、ブレーキが効きにくいことを念頭に置き、無理のない範囲で移動を。
けん引する側の心得
当然ですが、急がつく動きはNGです。ていねいにゆっくりと、けん引する車の様子を見ながら、運転を心がけましょう。けん引するときは、一定の速度を保つことも大切です。
はじめてけん引される側を経験したときも、けん引する側を経験したときも運転歴は重ねていましたが、緊張しました。けん引される側のときは、先導車と故障車をつなぐロープをなるべく一定の距離で保つことと、先導車のブレーキランプに集中。
何より先導車に追突するなんてことはあってはならないので緊張しました。
けん引する側だったときは、常に後ろの車に気を配りながら、速度を一定にすることに集中しました。
停止するときはハザードを出し、徐々にスピードを落として停止。けん引する側だったときも、気疲れしました。
なるべくなら経験したくないですが、安全な場所まで移動させるためにいざというときは必要になる場面があるので、少しシミュレーションしておくと良いと思います。
最寄りの場所まで安全にけん引。難しいときはロードサービスに頼ろう!
けん引するのは、本来はけん引免許が必要です。安全な場所まで移動せざる得ない状況のとき以外は、ロードサービスに依頼しましょう。
自動車保険にロードサービスが付帯されている方は、どんな内容が補償されているのか、今一度確認しておくことも大切ですね。